はじめに:学校に行かない選択をサポートする試み
「学校に行かない」という選択をした人を無償でサポートする——そんな社会実験的な取り組みがあります。今回は、1年半にわたってこのプロジェクトに参加し、無事卒業したゲストの体験談から、学校という存在の意味を一緒に考えてみましょう。
スキッピングスクールプロジェクトとは
このプロジェクトは、学校に行かないという選択をした人のサポートを、無償で行う社会実験的な取り組みです。今回のゲストは、高校2年生のときにこのプロジェクトに出会い、約1年間の伴走を経て卒業しました。
- 対象:学校に行かない選択をした人
- 特徴:無償でのサポート、社会実験的な位置づけ
- 期間:ゲストの場合は約1年間の伴走
高校を辞めるまで:頑張っていた日々と体調の崩れ
ゲストはもともと、進学校で勉強にも部活にも打ち込む生徒でした。しかし体調を崩したことで、思い描いていた高校生活を続けることが難しくなってしまいます。
進学校で全力だった高校生活
地元でも進学を目指す学校に通い、将来の夢を描きながら勉強に励んでいました。部活では生徒会と放送部を兼部し、ボランティア活動にも取り組むなど、非常に充実した日々を送っていたそうです。
- 進学を目指す学校で勉強に注力
- 生徒会と放送部を兼部
- ボランティア活動にも参加
体調不良という思わぬ壁
入学から1年半ほど経った頃、体調を大きく崩してしまいます。きっかけは精神的なものでしたが、それが頭痛や倦怠感といった身体の症状として現れるようになりました。
「行った方がいい」「卒業したい」という気持ちはありながらも、体がついていかない——そんな状態に陥ってしまったのです。欠席が重なり、進級に必要な出席日数を超えてしまったことで、留年するか辞めるかという選択を迫られました。回復しきっていない状態では留年という手段が取りづらく、最終的に退学を選んだそうです。
「現役で大学に入りたい」という軸
高校を辞めた後も、ゲストの心には「大学に入りたい」という強い思いがありました。その気持ちが、次の一歩を踏み出す原動力になっていきます。
地元を出て東京へ
「地元にいても何も変わらない」と自分でも分かっていたゲストは、何かをしようと東京に出る決意をします。通信制高校も考えましたが、「現役で大学に入りたい」という思いから、勉強に集中できる環境を母親と一緒に探しました。
- 地元にいても変わらないという自覚
- 通信制も検討したが、現役での大学進学を希望
- 学習をサポートしてくれる環境が整う東京を選択
「意識」と「行動」のギャップ
興味深いのは、本人が「こうした方がいい」「こうしたい」という意識は常に高く持っていた一方で、実際の行動がそこに追いつかないことが多かった点です。これは決して特別なことではなく、誰にでも起こりうる”思いと行動のズレ”だと言えるでしょう。
「思っているのと、やるのが違う」——この当たり前のようで難しい現実を、ゲストはこの1年で痛感したと語ります。
辞めて気づいた「学校という装置」のすごさ
学校を離れて初めて見えてきたのが、学校が持つ”仕組み”の力でした。毎日通い、一定のペースで学び続けられていたのは、自分の意志だけの力ではなかったのです。
自分の意志がなくても前に進める仕組み
学校を辞めてから、ゲストはこんなことに気づいたと言います。
- 嫌だと思っても毎日通っていた
- 朝から夕方まで、部活がある日は夜まで活動
- それを週5日、土日も含めて続けていた
- 自分の意思でなくても、一定の速度で学習が進んでいった
「ついていくだけで、なんとなくいける」——この感覚が、実は学校にいたからこそ成り立っていたことに、辞めてから気づいたそうです。自分一人で、ゼロから同じペースを保つことがどれほど大変か、身をもって体験したのです。
一人で勉強を進める難しさ
たとえば数学の問題集を一冊、誰の助けもなく一人でゼロから終わらせる。これは5教科7科目分ともなれば、想像以上に大変なことです。ゲストは「学校ってよくできたシステムだな」と改めて感じたと言います。
もちろん、学校のあり方がすべて正しいわけではありません。面倒なことや意味を感じにくいこともあるでしょう。それでも「あの仕組みがないと頑張り続けるのは本当に大変だ」という実感は、学校に通っている人・通えなくなった人の双方にとって、大切な気づきではないでしょうか。
学校に行けなくなっても、それはダメなことじゃない
最後に、この体験から伝えたいメッセージをまとめます。悩んでいる人や、そのご家族にこそ知ってほしい視点です。
まず「学校に行けている」こと自体がすごい
毎日学校に通えているだけで、実はとても頑張っている証拠です。そのすごさは、離れてみて初めて分かることかもしれません。
- 学校に通えているだけで、すでに頑張っている
- その状態に行けなくなったからといって、ダメなわけではない
- 体調や状況は人それぞれ。立ち止まることも一つの選択
もし今、学校に行けないことで自分を責めている人がいたら、まずこのことを思い出してほしいと思います。選択肢はひとつではありません。自分のペースで、次の一歩を探していけばいいのです。
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